本日は、この半年間使っている水耕栽培システムについてレビューしてみたいと思います。
もくじ
- 水耕栽培のススメ
- 我が家の水耕栽培システム
- デメリット
- メリット
- その他の家庭向け水耕栽培システム
- 栽培しているもの
水耕栽培のススメ
水耕栽培とは、皆様ご存知の通り、土を使わずに水と溶液とで植物を栽培する方法ですね。日本でもトマトやイチゴ農家さんなどがいち早く取り入れ今日ではメジャーな農業方法となっています。また家庭栽培でも容器に水を溜めて簡単に植物栽培を楽しんでいる方が多くいらっしゃり、日々勉強になります。
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水耕栽培 |
私が去年まで住んでいたカナダでは、長い冬の間の野菜確保のために、かなり真剣にこの水耕栽培が家庭レベルで行われています。地下室やグリーンハウス(温室)の中一面に水耕栽培システムを張り巡らせて暖房とLEDライトを設置することで、一家族の野菜をすべて自作している人が多くいます。土栽培に比べて場所を取らないこと、また水槽を置くことで湿度と気温を保ちやすくなることが寒い地域においての水耕栽培のメリットのようです。
そのような環境に影響されて、私も昨年末、小さいものですが循環システムを使った水耕栽培を始めてみました。今回は、そのシステムについてのご紹介と感想を書きます。
我が家の水耕栽培システム
以前から簡単なペットボトルでの水耕栽培からはじまり、Kratky(クラッツキー)と呼ばれる桶に水を溜めてエアーポンプを入れ、複数の苗を育てるシステムをベランダやキッチン窓に置き、レタスやハーブなどを栽培しています。
そして昨年末、以前より興味があった循環式の水耕栽培システムを購入しました。カナダでは自作するのが一般的なこのシステム、私も自分で作ってみたかったのですが、小型なものは自作するよりもキットで購入する方が安い場合もあり、初回ということもあって、Amazonさんでキットを購入してみました。
噴水用ポンプで汲み上げられた溶液水が全てのパイプを伝って、全ての苗の根っこを溶液水が触り、下に置いてあるタンクに戻って行くとてもシンプルなシステムです。苗を設置するカップは直径3.5㎝のものが一列9個×6列なので、計54苗が一度に育成できます。カップと苗を挟むスポンジが付属されていました。
パイプに溜まる水の高さはパイプの半分の位置で、苗カップの底がギリギリに触るようになっています。空間があることで苗に十分な酸素も供給され、また水が循環することで水が腐ること、また藻の発生を防ぐとのことです。
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溶液水タンク |
それでも、やはり藻は発生するので、私は透明だった付属ホースにビニールテープを巻き藻の光合成を少なくしています。また、排水口にネットを設置し、落ちてきた藻をキャッチするようにしました。
藻の発生は悪いことではなく、溶液水にきちんと栄養があることの確認にもなるそうです。しかし、藻がはびこりすぎるとパイプ詰まりの原因になり、また必要な栄養が藻に取られることにもなるので、最小限に抑えることが望ましいそうです。私は半年使っていますが、今のところ、大掃除もせずに済んでおります。
デメリット
このシステムを半年間使ってみての感想をまずはデメリットからご紹介します。
まずは大型植物には向いていない点です。キュウリやトマトなどの根がたくさん這う植物には向いていないです。また、シソやバジルなども根が旺盛に育つので、隣の植物の根に絡まっていきます。私個人の思うところですが、根があまり広がらないもの、そして比較的短期間で収穫できるレタス系のものに最適のように思えます。根っこごと収穫した際に隣の根っこも引っ張ってきてしまったということがあるので、収穫方法や収穫時期を考慮した苗の配置が必要です。また、使用カップが直径3.5㎝と小さめサイズであることからも、小型の植栽向きシステムのようです。青梗菜などは根がとても太くなるので、収穫の際にカップが抜けずに大変でした。
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水耕栽培キュウリの根 |
循環式のシステムでは、ポンプや水の流れ落ちる音がします。我が家はベランダに置いているので気になりませんが、室内に設置する場合などは要注意です。水がタンクに落ちる音は、パイプとタンクの落差をなくすなどの工夫で軽減できそうです。
冬場は暖房または保温設備がないと栽培は厳しいです。土栽培だとトンネルをかけ土の地熱である程度育つ野菜も、水耕栽培ではそうはいきません。我が家のベランダはぐるりと窓が閉まり小さな温室状態になるので、関東にて青梗菜などの冬野菜がこのシステムで育ちましたが、零下になる日が多い設置場所では水温を保つのに工夫が必要、または室内への移動が必要です。
さらに、これはさほど大きな問題ではないのですが、水耕栽培用カップについてです。カップは何度も再利用ができますが、たまに根が食い込んでしまい壊れてしまうこともあります。オンラインショップで手軽に買えるのは助かりますが、メーカーによってサイズが微妙に違います。幅が同じでも高さが違ったりしますので、細かくサイズを調べてからの購入が必要です。
メリット
使ってみて良かった点はたくさんあります。我が家はべランダで使用していますが、土栽培に比べて虫が減ったこと。また、使う水の量が少ないのでべランダにかける重量負担を心配しなくて良い点です。タンクは幅15cm、奥行き20cm、高さ15cmほどの小型容器で、1週間に一度ほど溶液追加で済んでいます。夏にはもう少し大きめのタンクが必要かもしれません。
システム全体のサイズも我が家にはちょうどよく、狭いベランダでは季節によって陽の刺し方も違うので、その都度移動も容易に行える大きさがとても便利です。寒い季節ではシステムごと室内に移動も楽にできます。
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リボベジ・レタス |
そして今流行りのリボベジにも便利で、カットした野菜をカップに入れて設置しておくにもちょうど良いです。
水溶液の栄養管理は課題で、私はきちんとペーハーを調べたりしないので、手探りで模索中です。これは土栽培でも同様、永遠の課題ですね。一度に56の苗を育てられるので、あまり溶液の栄養バランスが違うものの栽培は避けたいです。
タンクの置き場所は、夏場は高温にならないところを選ぶ必要があります。我が家のベランダはとても暑くなるので、今後、クーラーボックスを使用しようと検討しています。桶に水をためるKratskyタイプではこの水温上昇が難点でしたが、循環式では陽の当たらない場所にタンクを設置できるのが利点です。
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育苗中のマンダリンオレンジ |
これも私個人の感想ですが、何より水遣り頻度が減ったのが最大のメリットでした。以前は水源のないベランダで土栽培をメインにしており、夏場は自動散水システムなどを設置して水切れを防いでいましたが、それでも手間がかかりました。水耕栽培では、タンクのサイズで調節すれば水やり回数がかなり減らせます。また、このようなパイプを横向きにしたシステムでは、停電などで万が一電源が落ちてもパイプ内に水が溜まっているので、しばらく安心です。
植物によっては水耕栽培に不向きのものも多いので、土栽培とうまく併用していくのが良いかと思われます。また、本植は土にする予定の子苗を育てる場としても、このシステムを使っています。
その他の家庭向け水耕栽培システム
多くの方が既に試されているように、水を溜める入れ物と苗を支える工夫があれば簡単にできる水耕栽培です。我が家で使っているその他の水耕栽培方法を列挙致します。
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ペットボトル水耕栽培 |
水耕栽培の基本中の基本であるペットボトル水耕栽培。アボカドさんは溶液なしの水道水だけで、ほぼ一年育っているものも。そろそろ土に植えてあげないといけないのかもしれないのですが、この姿がたまりません。
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Kratskyシステム |
桶に溶液水を溜めてるだけの水耕栽培。陽当たりが良いとすぐ藻が繁っちゃうのが難点です。
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かなりテキトーなKratskyポンプシステム |
たまたまそこにあったバスケットの中にビニール袋を入れ、溶液水を溜めネットを敷いてリボベジの水菜、レタス、サンチュ、ルッコラやら色々置いて、エアーポンプを突っ込んでおいたかなりテキトーなシステムでしたが、夏中収穫させてくれました。右隣は正統派のポンプ入りKratskyシステム。
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屋外用Kratsky |
こちらは大失敗に終わった反省作。水源のない屋上で始めたKratskyシステムでしが、透明衣装ケースを使ったために藻がはびこってしまったのと、水の供給が面倒になってしまい挫折しました。とてもよく育ってたゴーヤさん、キュウリさん、ごめんなさい。( ; ; )この一件で私は大反省し、これが現在の無理せず続けられる水耕栽培システムを購入するきっかけとなりましが。
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大型植物の家庭用水耕栽培 |
かなり大雑把な絵ですが、こちらはキュウリやトマトなどの大型植物の水耕栽培システムの基本形になります。バケツの中に半分水を溜めながらも、さらに水を巡回させることによって、酸素と影響の効率的な供給になり、水が腐る、または藻が生えるのを防ぐことができるそうです。
栽培しているもの
現在この循環式の水耕栽培システムで栽培しているものは、主に葉物野菜です。我が家は毎日サラダを多く消費するので、今年の目標は「一日レタスひと玉分の野菜が収穫できるように、種まきから収穫までのサイクルを上手に回すこと」です。
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水耕栽培白菜 |
発根・発芽から子苗の育成はKratskyシステムを使いながら、循環式システムへ移植して収穫する、という流れになります。現在システムで育成している植物は次の通りです。
- バジル
- レタス
- 水菜
- 白菜
- パクチー
- ホウレンソウ
- サンチュ
- スイスチャード
- タイム
- ローズマリー
- 時々お花
今後、夏に向けて水温管理なども勉強していかないと思います。また育成の様子をレポート致したいと思います。